天文

今日会社の帰りにつれあいと待ち合わせてビックカメラにエアコンを買いに行ったのです。除湿機能が他のメーカーに比べて格段に優れているという店員さんの説明に日立の再熱除湿という機能のついたのを購入しました。
これで新築マンションの湿気も暑い夏もどんと来いだ!と気分よく店内をぶらいつていると、つれあいが双眼鏡コーナーに釘付けになっています。「すごいすごい、こんなによく見えるんだ」とずらり並んだ双眼鏡をとっかえひっかえ試しています。確かに大きな双眼鏡は明るく、視野も広くよく見えますねぇ。
すると「それはあんまりよくないんだよね。こっちの方がいいんですよ。日本のメーカーのが断然いい。こっちのはガラスをせいぜい1年しか寝かせてないけど、こっちのは10年以上寝かせてるからね、ゆがみがないんだよ」とにこやかに店員さんがおすすめしてくれます。10年寝かす!すごいじゃないですか日本のメーカー。うれしいですねそういう職人魂。ほほぅ、と思いその日本のメーカーの双眼鏡でビックカメラの店内を眺めまわします。確かに見やすい気がしてきます。「双眼鏡ってのはどういう人が買いにくるんですか?」とつれの無邪気な質問に「うん、ここはね。一日70台以上売れるんですよ。日本一。マニアも集まるところなの。もちろん歌舞伎とか宝塚とかの観劇用に買いにくる女性もいます。」そういえばこの店員さんの顔立ちは日本舞踊タッチ。「でもやっぱり天文。この双眼鏡でも月のクレーター見えますよ」と店員さん。ショーケースの下の物入れからごそごそとアルバムを出してらっしゃいました「これ私が撮影したんですけどね。」うぉー、すごい鮮明にクレーターが写ってますよ。「きれー、こんなんみえるんですか?すごいっすねー」と次々にスバルやらオリオンやら撮影された写真を見せてくださいます。「どこで撮影したんですか?」「うん、池袋、私んち。」ええー、池袋の夜といえば帰ることを忘れた若者たちがふらつく欲望うずまくネオン地帯じゃないですか。そんな渦巻きの中で夜空に星を眺めている人がいらっしゃったなんて素敵です。「でね、どのくらいよく見えるんだろって思ってサンシャイン見てみたんですよ。するとね窓の中にみんな働いてるのが見えるんですよね。はっきり。あの屋上にある誘導灯なんて中のフィラメントが見えますからね。」ただ者ではありません。すごいのもってるみたいです。「私はねぇ小学校6年生のときから天文やってますからね。マニアなんです。」ついに天文コーナーに入ってしまいました。もう双眼鏡には戻れません。「小学校6年生の時ね、自分で望遠鏡作ったんですよ。お金ないですからね。ビニールパイプ盗んできてね。下敷きをこう重ねてね。レンズはさむんです。前と後ろにね黒いの入れて。そしたらね見えたんですよ。月のクレーターがね。それでいかれちゃいましてね。それからずーっと空眺めてます。」このあと去年の火星大接近騒ぎのときのいろんなエピソード、何台も売れた望遠鏡のうち唯一火星を見ることができた機種のことやら、富士山の5合目で星を見る話やら、今ちょうど土星の傾き具合がよくってわっかがよく見えることやら、スバルのところにできたての星が4つ見えることやら、そそる話がノンストップで続きました。全部は書ききれません。気づくと1時間以上話ししてくださってます。お話だけでなく天体望遠鏡ものぞかせてくださいました。ありがとう、とても楽しかったです。