「ぼんち」読了

船場つながりという理由で「ぼんち」を読みましたが、「細雪」は船場にお店があった旧家の4姉妹という設定だけですから船場つながりというのは言い過ぎかもしれません。ちょうど時代も重なっておりますが、とても同じ時代を描いているとは思えない程船場の内と外では世界が違いますねぇ。
東京生まれの文学青年とは対照的に、大阪の旧家の生まれでしかも新聞記者出身の山崎ですから大阪に対する基礎体力と取材能力は比べても仕方の無いことですが、細雪の関西と東京の違いは主に気候の違いですが、山崎の描く船場は今の日本とは違う別の世界ですわ。
ともに市川崑が映画化していますが、ぼんちは60年、細雪は83年。細雪は今でも撮影できそうですが、ぼんちはスタジオシステムがあればこそ。雷蔵が69年に死んでしまうからという理由ではなく68年以降はもう絶対撮れない映画ですよねー。吉永小百合が出演しているというだけでダメな作品だと決めつけることができる細雪を観ることは一生ないと思っていたのですが、見比べてみたくなってきました。でも吉永小百合は観たくないなぁ。
最初に映画を観たときも思いましたが、やはり喜久ぼんの生き方はあこがれの生き方の一つです。