あの神社を国家で護持することの是非について、あるいはさしさわりのある問いになろうかと逡巡しつつ、思い切って尋ねてみると、
「ああ、あのことね。国家予算でお宮を立派にするのは結構なことだと思いますよ。でも、どんなに立派に祀ってやるといわれても、だから死んでもいいと言う人はこの世に一人もいないでしょう。」
温厚な政子にしては珍しく、最後に切りつけるような一言を吐いたのである。