書籍という体裁は

「長い文章が読めない」「人の話を聞いていられない」などの現象は老化による集中力の衰えかと思っていたが、どうやらそれだけが原因ではないらしい。インターネットをやりすぎて神経系が変化しているらしい。マクルーハンのいう「メディアはマッサージである」は比喩ではなく現実の脳神経の話だったのだ。ネット・バカでは「直線的思考」と訳しているが、私流に言うと「説話論的な思考」が失われつつある。
本当かどうか知らないが最近の学生の中には本を最初から最後まで読むなんてことは非効率だと言う人がいるらしい。
いずれにしても書物という体裁のものを頭から最後まで読むという読書スタイルというのはすでに失われつつあるらしい。つまり必要な部分にさえアクセスすればその他の部分には価値はないということ。グーグルブックスそのものだ。
ここから予想される未来は本を一冊買うという習慣もなくなるだろうということ。ネット上にすべてのテキストがアーカイブされ、検索により必要な部分にだけアクセスする。多くの人がアクセスする部分が価値であり、全体はより大きな全体として境界が失われていく。
電子書籍元年という言葉もすっかり聞かなくなったが、将来において電子書籍というものはビジネスにはならないだろうというお話でした。